グッピーの飼育方法

3.上級編

    著作 田中 優次
 コンテストで優雅に泳ぐ美しいグッピー達を見て、自分でも是非こんな美しい魚を育てて見たいと思われた方は数多く居られる事と思います。しかし、いざ、育て始めるととてもとてもそんな美しい魚が育たず、途中で投げ出し、ショーグッピーの作成は、非常に困難だと考えている人達が多いことに、最近驚かされています。今回は、そんな人達にも簡単にコンテストに出品できるグッピーの育成について述べたいと思います。

〇種親の選択と育成
 どのような種類のグッピーを育てたいかを、先ず決定して下さい。この時に気をつけて貰いたいのは、自分が好きな種類を選ぶということです。好きでもない種類を選択するとやはり、手間隙を掛ける事が億劫になってしまうからです。種類が決まったら、出来る限り素質の良い種親を手に入れることから始まります。グッピーの出来の良否は、ここで80%が決まってしまうと言っても過言では有りません。それでは、種親を選ぶ基準を簡単に書いて見ましょう。生後4ヶ月から5ヶ月で、初産若しくは初産が終わった段階程度の物を選んで下さい。大きくて優雅に鰭を伸長させた6ヶ月やそれ以上の物に目が奪われ、ついつい大きなペアを買ってしまい。初回に30匹や50匹もの稚魚が生まれ、この中から将来、親より凄いペアが取れると糠喜びしている方や、折角高価なペアを手にしても、稚魚を産することなく寿命を終えさせてしまうという悲劇が、後を絶たないのですが、選択基準をしっかり押さえていれば、4ヶ月位の初産を迎えてない物の方が、しっかり大きな稚魚を生んでくれるので、後は生まれた稚魚を選別育成さえすれば、6ヶ月もすれば、コンテストに充分出品出来るサイズに育て上げることが出来るのです。現在、コンテストに出品されているグッピーの殆どは、初産か2回目の出産稚魚を育成したものであることを頭に置いて下さい。これは、多産すればするほど稚魚のサイズが小さくなり、いくら餌を多く与えたとしても、初回や2回目の稚魚を育てた場合ほど大きくはならないのです。腹腔内で孵化してから、体外に出てくる卵胎生魚の宿命なのです。どうしても、大きなグッピーしか手に入らなかった場合は、その稚魚の中から、一番大きな雌と一番美しい雄を選び出し、それを種親にし、孫の代で、出品魚サイズのグッピーを育成するくらいの気持ちで、最初の稚魚を育てて、親のような大きさに育たないからと諦めないで下さい。では、種親としての形態や色彩についての選択基準を書いて行きましょう。
 何ペアかまとめて販売されている場合は、殆どが兄弟ペアである可能性が高いので、その場合には、出来るだけ大きな物で、尾開きが良く、尾筒が太く、色彩が明瞭で、雄と雌の尾鰭の色調が同一(一部の種類では、判別が難しい物も有りますが)で、背鰭が立ち上がって大きな物を選んで下さい。もし、1ペアだけでの販売の場合は、尾鰭の立ち上がりの角度が大きい物で、勿論尾筒が太くしっかり育っているか、発色が全体に明瞭であるか等を見て、万一、どちらかが、満足の行かないものであれば、購入を断念し、次回の入荷や他店での購入を考慮して下さい。確かに値段を一応の目安にするのも一考ですが、品種や入荷量や人気にかなり価格が左右されるので、価格に惑わされないようにしてください。勿論、有名なコンテストブリーダーの魚は、ブランド化されている傾向が強いので、名前に惑わされないようにすることも大事です。それぞれの品種の特徴が顕著に見られるもので、上記条件が満たされれば、後はその後の育成と選別さえ出来れば、立派なショーグッピーが育つことは間違い有りません。品種の特徴については、専門誌やコンテスト出品魚の上位入賞魚を参考にしてもらえれば、誰にでも、優秀な親を捜せるものと思います。

〇稚魚の育成と選別
 待望の稚魚が生まれたら、勿論、数が少ないので、産卵箱を使って採仔することをお勧めします。育成は、ブラインシュリンプの孵化したものを一日に4回以上与え、一週間はブライン単用で、その後は、配合飼料と併用し、最低1ヶ月程度は、ブラインを与えるように心掛けて下さい。雄と雌の判別が付くようになったら、雄と雌を分離し、雄の方に餌の与える回数を増やして下さい。食欲は雄に較べて雌の方が強く、雄と雌を混泳させている水槽では、雄が大きく育たない原因の一つだからです。(コンテストブリーダーと一般の人のグッピーのサイズの違いが顕著に現れる原因でもあります。)さて、それぞれが大きくなって、発色も始まり、品種の特性を備え始める段階になると、そろそろ大きさにばらつきが出始め、選別の時期となります。収容魚のなかから、形質の顕著に優秀な物を選び出します。(大きさや色、各鰭の伸長度そして柄等を基準にして、稚魚が多いときは、良い物から選び出し、少ないときは、悪い物から取り出してゆくようにすると簡単に選別が出来ます。馴れないうちは、悪い物から取り出すようにすると、良いでしょう)折角選んで残した大事な魚達です。これからは、傷や疾病、水質の悪化に状態を崩さないように育成管理を行ってください。換水やフィルターそして底砂の洗浄時には、特に注意をして、浄化バクテリアの減少を必ず補うようにして、常に清浄な水質で育てると、換水毎に、大きくなるのが判るほど成長します。2ヶ月程度までは、収容匹数は多いほど、餌食いも良く、成長も早いのですが、2ヶ月を超えると、収容密度が高いと成長が阻害され、鰭の伸長に影響を及ぼすので、この頃までには、選別を済ませておいたほうが良いでしょう。

〇成魚の管理
 4ヶ月を超えると、顕著に鰭が伸長し、5ヶ月6ヶ月とグッピーの一番綺麗な時期を迎えることとなります。(アメリカからの品種は、これよりも2ヶ月程度後になりますが)コンテストへの出品を控えた魚達は、そろそろ鰭の痛みを避ける為、単独飼育に切り替えます。この時期は、それぞれに収容スペースの問題が有るので、出来る限り水量の大きい水槽への収容を心掛けて下さい。というのは、水量が少ないと、水質の変化が顕著になり、折角大きく育てた雄の鰭がアンモニアや擦れで傷んでは、元も子も亡くなってしまうからです。又、複数飼育をすると、餌を与える時に、雄は餌と間違えて鰭をかじり合ったり、喧嘩をして、傷がつくことがあるからです。

〇次世代種親の選別
 自分で選別繁殖した場合、処女雌が簡単に水槽から選べるので、出来る限り大きな物で各鰭の良く伸長した雌を2〜3匹選び、雄は、一番綺麗な物の中で一番大きな雄を選び、これらを次世代の種親に使用するようにすると、さらに美しいグッピーを育てることが出来ます。しかし、同胎交配の影響も懸念されるので、この次の世代には、同一種他系統の雄や雌を利用する必要が生まれます。水槽に余裕のある方は、次世代の種親を選別するときに、大きい雌と大きい雄の組み合わせを一系統とし、色彩や形の綺麗な雄と色彩や尾開きの綺麗な雌(大きさに関係なく)を一系統と合計二系統作っておくと、大きくて綺麗なグッピーが二つの系統を掛け合わせることで簡単に作れて、同胎交配の劣化現象や弊害が防げます。このようなそれぞれの注意点さえ押さえることが出来れば、一年後には、水槽内に美しいグッピーの乱舞を楽しむことが出来、コンテスト入賞も間近です。水質の管理や飼料の種類、新品種の作成、遺伝子の特性等など、色々奥が深いグッピーの世界ですが、何はともあれ、コンテストで入賞し、表彰される気分を味わえないと、先へ進む気がしないので、是非頑張って、来年のワールドグッピーコンテストを目指して、グッピーの育成に頑張りましょう!!

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