8. テトラヒメナ症

症状:検査魚は本研究室で多数飼育されていたグッピーの中の一匹で、すでに衰弱し、遊泳不活発な状態にあった個体である。病魚の外観は尾柄部が白色を呈し、粘液の異常分泌もく見られたが(図1)、腹腔内臓器に特徴的な病変は認められなかった(図2)。診断のために体表の白色部位を採取して鏡検したところテトラヒメナが多数寄生しているのが確認された(図3、4)。病魚を病理組織学的に検査した結果、白色状の筋肉内には、テトラヒメナが多数寄生しており(図5)、その周囲には広範淘な躯幹筋の融解、変性、萎縮などが認められ、炎症性反応を呈していた。

原因:繊毛虫の一種で、滴虫頼に分類されるテトラヒメナ(Tetrahymena)が多数繁殖することに原因する病気である。虫体は特に有機物に富んでいる水中で飼育されている魚、免疫能が低下した魚、何らかの原因で衰弱した魚などに寄生繁殖する傾向がある。本病に対してグッピーキラーという用語が使用されることがある。本寄生体は多くの卵胎性魚種に感染可能であり、シクリッド類やカラシンに分類される魚種にも感染することが知られている。

対策:本病の対策は水質を改善し、テトラヒメナを繁殖させないようにすることが大事である。ホルマリンによる薬浴は体外の寄生虫を殺虫させる効果はあるが、体内で繁殖している寄生虫体には無効である これらのことから、この疾病の予防・治療法は飼育環境を良好な水質に維持することであるといえる。
図1.病魚の外観

 
図2.病魚の腹腔内臓器

図3.体表のテトラヒメナ
低倍(100倍)


図4.体表のテトラヒメナ
中倍(200倍)

図5.筋肉内の
テトラヒメナ。病理組織
(ギムザ染色、400倍)

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