4. 立鱗病

症状:本症の特徴は外観的に立鱗や腹部の膨満が認められることである(図1、2)。罹病魚は遊泳が徐々に緩慢になり、やがて水槽の底に停止し、斃死する。瀕死魚を病理組織学的に検査した結果、鱗は立ち上がり(図3)、躯幹筋の壊死と、筋間に炎症性細胞の浸潤が認められた(図4)。しかしながら、細菌の繁殖は鱗嚢内には認められず、腸管壁内にのみ認められた(図5)。

原因:通常本症の主因は淡水中の常在菌であるエロモナス・ハイドロフイラ(Aeromonas hydrophilia)の感染によるとされている。しかし、本菌の病原性は多くの場合それほど強くはなく、本症の発生には魚側に何らかの他の原因が存在していたとみてよい。本症は金魚や錦鯉にも発生する。 また、本症はウイルス感染あるいはある種の薬品の影響などによっても起こることがあるといわれている。今回の症例が細菌感染に原因していたかどうかを明確にすることは出来なかった。

対策:本症の発生には環境の悪化、飼育密度、餌の品質、投餌量などが関与していることが多いため、まずそれらの改善を実施すべきである。また、細菌感染に原因する立鱗症の場合にはまだ食欲があるならば、経口的に抗菌剤(例えば、観賞魚用パラザン)を数日間投与する。摂餌しない場合には観賞魚用パラザンD、グリーンFゴールドなどによる薬浴を実施する。加えて体液に近い食塩水浴(約0.8パーセント溶液;60センチ水槽の場合、小さじ約2杯の塩を添加する)を行なうとより効果的である。
図1.病魚の外観(側面)

 
図2.病魚の外観(側面)

図3.立鱗
(HE染色、40倍)

図4.筋肉の壊死
(HE染色、40倍)

図5.腸管壁に見られた
短桿菌
(グラム染色、400倍)

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