3. 水カビ病

症状:罹病魚は都内の某観賞魚店から研究室に持ち込まれたもので、入荷されてまだ間もない個体である。病魚は図1に示すように尾びれのほとんどが欠損していたが、この部位には肉眼的には綿毛状の菌糸はみられなかった。しかし、患部の一部を切り取り直接顕微鏡で観察したところ、菌糸が確認された(図2)。このように、肉眼的に水カビ病と判断できなくても患部を鏡検することにより菌糸が確認されることがしばしばある。また、罹病魚の病理組織標本を作成、観察したところ、病変は比較的深部にまで達し、さらに患部には菌(カビ)だけではなく、細菌の侵入も観察された(図3、4)。

原因:患部にみられた菌糸を分離・培養後、観察した結果、本菌は卵菌類、ミズカビ科に属するアファノマイセス (Aphanomyces sp.)であることが確認された。アファノマイセス属の菌は遊走子が遊走子のうの頂口で塊状に休眠するのが特徴で、この特徴から他のミズカビ科の菌と区別される。今回の症例は患部に菌糸とともに多数の細菌も観察されたことから、輸送によるスレなどの後、細菌および菌が二次的に感染したものと考えられる。

対策:細菌、真菌の複合感染が観察されることから、食塩やグリーンFなど、細菌、真菌のどちらにも効果のある薬物の使用が有効と考えられる。
図1.罹病魚の外観を示す。
尾びれが欠損している


 
図2.患部に
見られた菌糸
(顕微鏡写真、150倍)


図3.体幹に
侵入している菌糸
(組織写真
PAS反応、300倍)

図4.菌糸とともに
観察された細菌
(組織写真、HE染色、
1500倍)

図5.頂口で塊状に
休眠している遊走子
(顕微鏡写真、600倍)

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