1. 線虫と抗酸菌
| 症状:検査魚(体長4.2センチ、体重0.6グラム)の総排泄孔から細長い赤い紐状のものが2−3本出ているのが観察された(図1)。取出して直接鏡検したところある種の線虫であることが判明した(図2)。また剖検の結果、腹腔内に線虫が寄生しているのが確認できた(図3)。病理組織学的に検査したところ、線虫は消化管内にも認められた(図4)。次いで、病理組織学的に腎臓、脾臓、卵巣および腹膜などを検査した結果、それらの部位にギムザ染色に濃染される桿菌が繁殖しており、それらはチールネルゼン染色で赤く染色されたことから抗酸菌の一種であると判断された。腎臓の間質には類上皮細胞に囲まれた抗酸菌の集塊が多数認められた。また抗酸菌は尿細管上皮にも見られ、細胞壊死を引き起こしていた。脾臓では抗酸菌が散在しており、あるものはメラノマクロフアージセンター(MMC)に取込まれていた。腹膜は肥厚し、塊状およぴびまん性に抗酸菌が多数認められた(図5)。 原因:線虫の寄生と抗酸菌感染とが合併しており、グッピーは衰弱したものと思われる。線虫の感染はそれが餌から経口的に取り込まれ、消化管内からその壁を破って腹腔内に侵入したものと考えられる。そしてその際、抗酸菌も体内に取込まれ、腹腔内で繁殖した後に各臓器内で繁殖したものと考えられる。 対策:今回のような合併症の治療は困難であるが、治療を試みるのであれば、まず線虫用駆虫剤を投与し、さらにカナマイシンなどの抗生物質を投与して様子をみるとよい。このような疾病は発生を防除することが肝要であり、そのためには水槽内の消毒、普段からの残餌および死魚の除去などを励行する必要がある。なお、抗酸菌症は治療が困難な疾病であり、軽度の感染では外観に病変が認められない場合が多く、認められた場合にはすでに重度であり、回復が期待できないことが多い。 |
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| 図1.検査魚の外観 |
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| 図2.線虫の外観 |
図3.腹腔内に 見られた線虫 |
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| 図4.消化管内の 線虫の断面図 (H・E染色、100倍) |
図5.腹膜の抗酸菌 (チールネルゼン染色、 1000倍) |
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